外国人の雇用と就労ビザの情報発信オフィス

外国人を雇用したい会社様、日本で仕事をしたい外国人の方に外国人雇用と就労ビザについて分かりやすくお伝えするブログです。

初めての外国人雇用、何から始めたら良いですか?

外国人雇用と就労ビザ申請を専門としている行政書士の秋山です。「初めての外国人雇用は何から始めたらいいですか?」とご質問されると、お答えすることが難しいです。 

それはご質問される方や会社によってご事情が違いますし、「外国人雇用」についての認識もそれぞれだからです。どこから、どんなふうにご説明すれば分かり易いか?

お客様にご事情を伺って、お客様にご説明して「分かり易かった」と言って頂ければ、大変嬉しく、やりがいを感じます。このブログでも外国人の雇用と就労ビザの情報を分かりやすく発信していきます。

 

 

1,初めての外国人雇用、何から始めたら良いですか?

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「初めての外国人雇用、何から始めたら良いですか?」と、よく聞かれます。これは大変難しいご質問です。というのは、その質問をされる方によって、どのくらい外国人雇用についてご存じか、が違います。

そして、会社や雇用する人材の方ごとにもご事情が異なりますので、お話する内容が違ってきます。「外国人雇用」は一人一人、一社一社によって様々なので、それらを加味して、お話しなければならないため回答は難しくなります。また、同じ案件でもご相談に来られた方が会社側の方か、外国人の方か、によってもアドバイスは違ってきます。

 このように外国人の雇用で就労ビザを取ろうとする場合には考えるべきことが細分化しています。ですが、一社一社、一人一人の事例を挙げることは、この場では難しいのです。

ですので、今回は「初めて外国人を雇用する場合に特に考えなければならない点」の二つの大きなポイントと四つのパターンのお話をできるだけ分かり易くお話しさせて頂きます。それと代表的な就労系ビザのについて少し触れておきます。

もし今回のお話より更に詳しく、個別具体的にお知りになりたい場合はどうぞお気軽にお問い合わせください。

尚、今回お話する「外国人の雇用」は正式雇用のお話です。アルバイト((週28時間以内)資格外活動許可欄「許可」)の採用ではないことにご留意ください。

 

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2,初めて外国人を雇用する場合に特に考えなければならない点

①「外国人材にどんな仕事をしてもらうか」と何の種類の「就労系ビザ」を取るかを考える

Ⅰ就労系ビザの基本的な考え方

外国人を雇用する場合に、まず考えなければならないことは「どんな仕事をしてもらうのか?」です。外国人に就労してもらう場合、就労系の在留資格(通称:ビザ)を取得しなければなりませんが、ビザの種類によってできる仕事とできない仕事があります。

ですので、まずはどんな仕事をしてもらうのか決めて、その仕事にあった就労系のビザを取得しなければなりません。

出入国在留管理庁(入管局)の在留資格一覧表にも「本邦において行うことができる活動」

とあるように各ビザ(在留資格)は日本でできる活動(就労資格)が決まっており、就労系ビザは入管局で認められた仕事しかできません。また、これらの就労系のビザにはそれぞれの取得要件が違います。この認識が一番重要なことです。認められている仕事以外をすると不法就労になってしまうので、外国人材にしてもらう仕事には十分気を付けて下さい。

Ⅱ代表的な就労系ビザ

 以下はよく取得されている就労系ビザ(在留資格)です。

「技術・人文知識・国際業務」ビザ、

技能実習」ビザ、「特定技能」ビザ、

「介護」ビザ、

「特定活動46号」ビザ、

「技能」ビザ、

「高度専門職」ビザ

「経営・管理」ビザ、

「企業内転勤」ビザ等

 

このうち当事務所で良くご依頼・ご相談頂くビザを簡単にご紹介します。

・「技術・人文知識・国際業務」ビザ

最も一般的な就労ビザの代表といえる、よく取得されているビザです。専門知識を活かした事務系のビザです。

・「介護」ビザ 

2017年9月1日から施行されたビザで、介護福祉士養成施設を卒業して介護福祉士国家資格を取得した留学生が取得するパターンが比較的多いです。

・「特定技能」ビザ

日本の深刻な人手不足対策に対応するため2019年4月に新設されたビザで、より幅広い業務において外国人の労働が可能になります。

・「技能実習」ビザ

2020年10月末時点では約40万人以上で一番多い就労ビザになります。

・「特定活動46号」ビザ

2019年5月に法務省告示の一部が改正されてできました。インバウンド接客に最適なビザです。

・「技能」ビザ

技能ビザは、外国特有の、または特殊な分野に属する熟練した技能を必要とする業務に従事する専門職の外国人のビザですが、外国人が日本で調理師として働くために必要なビザも技能ビザになります。

 

Ⅲ就労系ビザの基本的な考え方と順番

上記したことを元に就労系ビザ基本的な考え方とその考え方の順番を書いてみます。

①外国人材に「どんな仕事をしてもらうか」を決める

②その仕事に合うビザは何のビザになるのか確認する

③そのビザの取得要件を調べてその外国人がその要件に合うのかどうか?を確認する

何度も言っていますが、就労系ビザは出入国在留管理局(入管局)で認められた仕事しかできません。ですので、外国人の場合は日本人のように気軽に「部署を変える」などということはできませんから「どんな仕事をしてもらうか」は非常に重要です。それに「どんな仕事をしてもらうか」が決まれば、ビザの種類が絞られてきます。

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②雇用したい外国人材はどこにいるか?によっても考えるべきことは違う

次に「雇用した人材はどこにいますか?」ということですが、このことを確認することもビザ申請上重要です。その外国人がどこにいる人か、今何をしている人か、今ビザをもっているのか、によって4パターンに大別して雇用のポイントと注意点を考えると比較的分かり易いです。

Ⅰパターン1:海外にいる人材を呼び寄せて雇用する場合

このパターンは、今海外の大学に在学中か海外で仕事をしている、日本の在留資格(ビザ)をもっていない外国人を日本にある会社(例えば、貴社)に呼び寄せて雇用するという場合です。

この場合は、一般的に日本で在留資格認定証明書の申請をして海外の現地日本大使館等でビザ(査証)を取得し、来日してもらいます。つまりは、貴社でビザ申請をして新規で外国人を雇用するという事になります。

この在留資格認定証明書」というのは、外国人が日本で行う活動が入国条件に合っているのかを出入国在留管理局(入管局)が事前に審査を行い、入国条件に合うと認められた場合に発行される証明書です。

外国人が、本国で日本の大使館等にビザの発給申請をするときに、この在留資格認定証明書を添付します。そのことで、在留資格にかかる上陸条件については入管局が事前調査を既に終了しているものとして扱われるので、ビザの発給がスムーズになります。

 

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パターン2:日本で勉強している留学生を雇用する場合

外国人留学生が日本で就職する場合は入社までに「留学」ビザから就労可能な在留資格(ビザ)に変更することが必要です。「就労できる在留資格」が取れなければ内定を出しても意味がありません。ここが一番の注意点です。

よくあるご相談は「内定を出したもののビザが取れなかった」というパターンです。就労系の在留資格(通称:ビザ)には就労制限があります。上記で何度かお話していますが、在留資格(ビザ)ごとにできる業務とできない業務があります。

「日本でできる活動(就労資格)が決まっています」とお伝えしていますが、このことを知らない会社の雇い主や外国人就労者は知らずに不法就労してしまうこともあるのです。

就労系ビザの代表格である「技術・人文知識・国際業務」ビザ取得の場合、一番のポイントは 職務内容と留学生の専攻内容に関連性があることです。 ですので、貴社で募集している職務内容と関連している専攻科目を履修している留学生の中から選考を行えば、高い確率でビザ取得が可能です。そのため「内定を出したもののビザが取れなかった」という問題が起こることもかなり少なくなります。

 

 

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 Ⅲパターン3:すでに日本で仕事をしていて就労系ビザをもっている外国人を雇用する場合

すでにビザをもっている外国人を採用する場合は特に注意すべきことがあります。「すでに就労ビザをもっている外国人だからビザ取得の手間が省けてよかった」と思われる雇用主の方は少なからずいらっしゃいます。

ですが、「すでにビザをもっている外国人材にこそ注意が必要」です。なぜなら、その外国人がもっている就労ビザは、以前の会社で取得した以前の会社での業務に合わせて取ったビザです。

つまりはその外国人がもっているビザは「以前の会社でする以前の業務」の就労ビザだから注意しなければならないのです。

就労系のビザをもっている外国人は「決められた仕事しかできない」という就労制限があるため注意が必要と上記しましたが、例えば、転職の面接にやってきた外国人が「就労ビザを持っています」といってもそのビザが「技術・人文知識・国際業務」のビザであれば、その外国人を飲食店の調理やホールで働かせることはできません。採用担当者がこのことを知らないと、知らないうちに違法な採用をしてしまうかもしれません。

ビザ(在留資格)はただ持っていれば良いというものではなく、現に従事している職種に合致した就労可能なビザを入管局(出入国在留管理庁)で許可してもらって、その仕事をする必要があります。ですから、別の会社で仕事していた外国人を中途採用した場合、その外国人が貴社で仕事できるかどうかは正確にはわからないということになります。

もし、転職してきた外国人が貴社の仕事に合うかどうかを確認したい時は、就労資格証明書交付申請を行い「就労資格証明書」を取得することをおすすめします。

 

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Ⅳパターン4:就労制限のない身分系のビザをもつ外国人を雇用する場合

身分系の在留資格(ビザ)とは、「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格のことです。これらの在留資格を持っている外国人は就労するにあたってなんの制限もありませんので自由に働けます。したがって新規に就労ビザを取得する必要はありません。

就労制限がないという事は、単純作業や肉体労働、レジや販売、工場の仕事でも制限なく雇用可能です。外国人を雇用する場合に雇用する側にとって一番採用しやすいのが身分系のビザを持つ外国人です。

身分系ビザを簡単にご説明致します。

「日本人の配偶者等」

日本人と結婚している外国人など。

「永住者」

日本の永住権を取った外国人。

「永住者の配偶者等」

永住者と結婚している外国人など。

「定住者」

日系人やその配偶者、「定住者」の実子、日本人や永住者の配偶者の実子(連れ子)、中国残留邦人やその親族など。

 

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3,初めての外国人雇用、何から始めたら良いですか:まとめ

外国人雇用は上記したように大まかに考えたとしても、様々な点から確認することが多いことが分かって頂いたでしょうか?

「外国人材にどんな仕事をしてもらうか」、そして、何の種類の「就労系ビザ」を取るかを考えることが大変重要です。そのことも分かって頂けたと思いますが、如何ですか?

また、雇用したい外国人材はどこにいるか?によっても注意して頂きたいことは違ってきます。そして、一番雇用し易いのは身分系ビザをもつ外国人です。

これら、このブログでお伝えしております内容は知っておかれるだけで、外国人の採用活動を進めるにあたり「外国人雇用」の考えの基礎になってくれるはずです。外国人雇用を始めるときは、今回の「初めて外国人を雇用する場合に特に考えなければならない点」を確認しながら採用活動の準備をしてみて下さい。

ですが、やはり「外国人雇用」は個別具体的な判断が必要な事です。気になることや不安がある場合はどうぞお気軽にお問い合わせください。

このブログが外国人雇用をお考えの会社様や日本でお仕事をしたい外国人の方お役に立てれば幸いです。

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